音の記憶

written by Yumi Notohara

古関裕而作曲《歌謡ひろしま》について

古関裕而が曲付けをし、被爆の翌年に発表された《歌謡ひろしま》については、当時の新聞記事以外の資料が一切見つからず、古関裕而記念館もその存在を知らない「幻の曲」となっていました。けれども、曲を覚えていた方(当時は広島市外在住)が、テープに吹き込んだ歌を2018年に平和記念資料館に寄贈したことをきっかけに、『中国新聞』の記者が発掘作業に乗り出し、作詞者のことも含めてその経緯がようやくわかってきました。そして、ついにその草稿が古関裕而記念館の倉庫から見つかったとのこと、当誌が2022年5月11日付朝刊でその一報を伝えています(私のコメントなども入っています)。75年を経てようやく日の目を見た「ヒロシマ」の作品ということになります。