本の紹介『ショスタコーヴィチとスターリン』
ソロモン・ヴォルコフ著
亀山郁夫・梅津紀雄・前田和泉・古川哲訳
慶應義塾大学出版会 2018年
ロシアによるウクライナ侵攻には憤りと嘆きしかありませんが、そうした中で、改めて明らかになった「音楽の政治性」についてどのように向き合っていけば良いのでしょうか?
一つ明らかなのは、独裁者と音楽(家)の関係については単に、「プロパガンダ」あるいは逆に「政治の犠牲者」という構図に収められるものではないということです。ロシアにおける独裁者と音楽家の関係で真っ先に頭に浮かぶ「スターリンとショスタコーヴィチ」。その関係についてはこれまでにも様々に論じられてきましたが、この『ショスタコーヴィチとスターリン』は、その問いに答える手掛かりを与えてくれるように思います(訳者によるあとがきは、作曲家の評価をめぐるこれまでの経緯が簡潔にまとめられており参考になります)。本書についてのより詳しい紹介は、下記に書きました。