柿木伸之『燃エガラからの思考 記憶の交差路としての広島へ』
ベンヤミンなど20世紀ドイツの哲学・美学を専門とし、幅広く芸術論も手がける柿木伸之氏は、「広島」をめぐる思考においても鋭い眼差しをもっておられます。この新刊に収められているのは、前著『パット剥ギトッテシマッタ後の世界へ』(インパクト出版会 2015年)以後にさまざまな場で発表された論考で、さまざまな芸術表現に関する評論などを通して現代に続く広島/ヒロシマを見据えるものとなっています。
その中には書評も含まれていますが、拙著『「ヒロシマ」が鳴り響くとき』に対する批評も再掲されていますので、ぜひ手に取ってお読みいただければと思います。
**以下、本書に関する情報**
燃エガラからの思考──記憶の交差路としての広島へ
柿木伸之
破局の残骸を継ぎ合わせ、核の普遍史に抵抗する連帯の場を開く
「唯一の戦争被爆国」の神話を突き崩す「逆流」(殿敷侃)を芸術に見届け、近代史が集積した広島の今を問う。他者の記憶が行き交う街路(パサージュ)を開くために。「震撼させられた者たちの連帯」(ヤン・パトチカ)の可能性を探る『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ』以後の広島/ヒロシマをめぐる思考を集成。
四六判・並製 303頁
カバー作品・殿敷侃《川岸》1965年 広島県立美術館所蔵
2022年7月20日刊
インパクト出版会
[著者略歴]
柿木伸之 かきぎ のぶゆき
1970年鹿児島市生まれ。上智大学大学院哲学研究科博士後期課程を満期退学後、上智大学文学部哲学科助手、広島市立大学国際学部教授を経て、現在西南学院大学国際文化学部教授。博士(哲学)。専門は哲学と美学。二十世紀のドイツ語圏の哲学と美学を主要な研究領域とする。芸術評論も手がける。
ウェブサイト:https://nobuyukikakigi.wordpress.com