プランゲ文庫
プランゲ文庫を訪問しました。ワシントン近郊にあるメリーランド大学の図書館が所有するこのコレクションは、第二次世界大戦後の連合国軍占領下において、検閲目的のために集められた日本国内ほぼ全ての出版物からなるという貴重なものです。対象期間は1945年から1949年11月の約4年余りと長くはありませんが、戦時体制から戦後体制への一大転換期のメディア資料を網羅している点で、稀有なコレクションと言えるのではないでしょうか。
当コレクションの説明によれば、その数は
書籍71,000タイトル
雑誌13,800タイトル
新聞18,000タイトル
報道写真10,000枚
地図640枚
ポスター90枚
その他にも寄贈資料などがあり、例えば米軍関係者が所有していた日本各地の戦後の様子を写した写真資料などが遺族によって持ち込まれるなどの機会も最近は増えてきているそうです。同じ日本の写真でも、海外からの視点が入っている点では大変興味深いですね。
また、戦時中に建設され、終戦とともにGHQに接収された海軍館(東京)の所蔵資料も収められています。こちらはまだほとんど手付かずのようで、研究者による調査が待たれるところ、とのことでした。
プランゲ文庫については、児童書や文学書、政治関係資料などのリスト化やデジタル化、研究は比較的進んでいるようですが、音楽については遅れているようです。今回の調査目的は、音楽に関する検閲の実態を把握するためのものでしたが、それらを今後精査していくことで、これまで気づかなかった興味深い点が浮かび上がってきそうです。
なお、プランゲ文庫を閲覧するには、事前に当館への連絡が必要です。コレクションの内容やアクセス方法などについては、当館のサイトをご参照ください。